<aside> <img src="/icons/book_blue.svg" alt="/icons/book_blue.svg" width="40px" /> 課題論文1~3の抄録

<aside> <img src="/icons/playback-play-button_blue.svg" alt="/icons/playback-play-button_blue.svg" width="40px" /> 講義を観よう

<aside> <img src="/icons/alert_blue.svg" alt="/icons/alert_blue.svg" width="40px" /> ポイント

抄録や論文を読むときは、PICOまたはPECOを読み取ることが重要です

有効性を検証する臨床試験では、もっとも関心のある主要エンドポイントが1つだけ設定されます

主要エンドポイントの解析結果と研究の結論は一対一に対応します

【メモ】なぜ主要エンドポイントは1つだけ設定されるのか

エンドポイントが複数あると、「いいとこどり」ができてしまうからです。例えば、主要エンドポイントが1つ(生存期間)のときと、5つ(生存期間、QOL改善、無再発期間、有害事象の頻度、重篤度)のときを想像してみましょう。後者ではp値が5つ出てきて、それぞれp<0.05で有意差があるかどうかを判定することにします。p値が1つだと誤って有効と判定してしまう確率(第2週で解説するαエラー)は5%ですが、5つあると「いいとこどり」によって、どこかの検定で有効と判断してしまう確率が5%から約23%に増えてしまうことが知られています(1-0.95×0.95×0.95×0.95×0.95)。

【メモ】有意差ってなんだっけ

学術論文で有意(significant)という場合には、ほとんどが「統計学的に有意」ということを意味します。無再発期間に差があったとしても、もしかしたらランダム誤差のせいでたまたま差が生じたのかもしれない、と疑うのが、統計学的なものの見方です。統計学的有意差とは、ランダム誤差とはいえないほど大きな差のことで、これを判定するための道具がp値です。

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<aside> <img src="/icons/help-alternate_blue.svg" alt="/icons/help-alternate_blue.svg" width="40px" /> 理解を確認するためのクイズ1

課題論文1(Iijima, et al. Lancet 2014)で対象疾患となったネフローゼ症候群は、尿から多量のタンパク質が漏れ出てしまうために、全身の浮腫、腎機能障害などを起こす疾患です。次のうち、主人公がネフローゼ症候群である映画はどれでしょうか。正しいものを選びましょう(調べてみましょう!)

  1. レナードの朝
  2. フォレスト・ガンプ
  3. 最強の2人
  4. 聖の青春(正答)
  5. 秒速5センチメートル

<aside> <img src="/icons/help-alternate_blue.svg" alt="/icons/help-alternate_blue.svg" width="40px" /> 理解を確認するためのクイズ2

質の高い抄録には、”PECO”または”PICO”の各要素が明確に記載されているものです。さて、看護師2年目のAさんは、初めての学会参加のため下記の抄録を作成しました。あなたが学会抄録の採否を決める査読委員だとしたら、この抄録を採択しますか。理由を考えて、採択するかどうか選びましょう

抄録タイトル 2型糖尿病患者に対する新規糖尿病治療薬「バイシュガー」の検討

背景 2型糖尿病患者は推定で880万人おり、重要な生活習慣病の一つである。新規の糖尿病治療薬である「バイシュガー」は、強力な血糖改善作用がある一方で、副作用として、低血糖の頻度が少ないとされているが、効果はわかっておらず検討が必要である。

方法 A病院外来通院中の2型糖尿病患者200人を対象に「バイシュガー」の効果を検討した。観察期間は半年とした。

結果 200人中150人で、血糖値が110mg/dL未満に改善した。200人中、メタボリック症候群の患者は100人で、そのうち40人で血糖値が110mg/dL未満に改善した。副作用として、低血糖が20人、体重増加が10人にみられた。

結論 「バイシュガー」は、メタボリック症候群を合併する患者では効きにくく、投与量を増量することにより「バイシュガー」の効果を高める必要があると思われた。

  1. 採択する
  2. 採択しない