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<aside> <img src="/icons/alert_blue.svg" alt="/icons/alert_blue.svg" width="40px" /> ポイント

臨床試験を実施する際には、治験であればGCPや薬事法、特定臨床研究では「臨床研究法」、それ以外の臨床試験では「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守しなければなりません

被験者から同意を得ること、有害事象を国に報告すること、試験実施計画をプロトコールとして事前に規定すること、プロトコールは治験審査委員会の審査を受けること、データの品質管理・保証を行うことなどが求められています

【メモ】医薬品の臨床開発

医薬品開発は、非臨床開発、臨床開発、市販後という3段階に分かれます。非臨床開発では、薬理、毒性、品質、製品製造などに2~3年が費やされます。臨床開発では、第I相から第III相までの臨床試験が行われ、有効性・安全性が調べられます(現実の開発プロセスは第I相から第III相の順番があるわけではなくもっと複雑です)。これらのデータは承認申請資料(common technical document: CTD)にまとめられて国に申請がなされます。そして1から2年の審査を経て市販されるわけです。市販後には、幅広い患者に使用したときの適正使用や安全性を確保するため調査や臨床試験が行われます。これらにかかっている規制の1つがGCPです。

【メモ】データの品質

データの多くは医療現場で発生するものであり、カルテ、臨床検査伝票、患者日誌など様々な媒体に記録されます。このような、臨床試験の事実経過の再現と評価に必要な記録のことを原資料と呼びます。原資料に含まれる情報の一部は、医師またはclinical research coordinator(CRC)と呼ばれる専門のスタッフによって、データ収集用の症例報告書(case report form: CRF)に転記され、医療機関からデータセンターに送られます。最近では、紙ベースの症例報告書ではなく、専用のウェブシステム(electric data capture: EDC)を用いることが一般的です。データセンターに送られた臨床データは、電子的にデータベースに格納されます。データ収集はこの手順の繰り返しであり、患者の来院や別の患者の登録があるごとに、データベースは更新されます。そのため、データ管理部門から生物統計部門に統計解析用データセットを渡す前に、特定の日付でデータ固定(data lock)を行うことになります。生物統計部門はSASなどの統計解析ソフトウェアを用いて解析を行い、ソフトウェアの出力に基づいて統計解析報告書や論文を作成します。なお、がんなどの長期追跡が行われる疾患領域では、一部の統計解析が行われた後もデータベースが更新されることがあります。従って、統計解析用データセットは、データベースのスナップショットのようなものであり、どのタイミングのものかを特定するためデータ固定日を記録することが重要です。 この流れの背後には、人間が行う作業があることはいうまでもありません。すなわちどれほど真剣に作業に取り組んだとしても、人為的なエラーがつきものです。すなわち、品質管理の目標とは、エラー源をできるだけ早期に特定し、現場にフィードバックすることにより、作業を改善しデータのエラーを減らすことです。

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<aside> <img src="/icons/help-alternate_blue.svg" alt="/icons/help-alternate_blue.svg" width="40px" /> 理解を確認するためのクイズ

医薬品の第III相臨床試験の主な目的は、次のうちどれを調べることでしょうか。

  1. 用量と効果の関係
  2. まれな副作用の発生率
  3. 効果の有無
  4. 服用可能な用量の範囲